『アオイホノオ』3巻 感想
- 作者: 島本和彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/12/12
- メディア: コミック
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「ロッキー」と着ぐるみショーのくだりでかなり笑いました。面白かったー!
本編感想
上京に力試しに挫折に失意に立ち往生、青春の通過儀礼がバシバシこなされていくなぁ。『ロッキー2』を観ながらロッキーと同じ顔で挫折を味わう焔青年の姿に空しい笑いがこみ上げてきてしょっぱくなります。今まで思っていたことは間違い、習ったことは通用しない、全てが予想外。ああこれが現実社会なんだ。けど、いつまでも腐っていないで素早く立ち直れるのが焔の良い所。たとえそれが根拠の無い自信や思い込みからであっても、立ち直れるならそれで良いのだと思います。若者はそれくらいエネルギッシュでなきゃ。モデルで作者の島本和彦さんは今こうして漫画家になっている訳だけど、焔はこの先どうなるんだろう。「もしもアニメに進んだら」の展開も有り得そうですよね。
小学館のことを「やる気あんのかよ!」とか「めっちゃセコイやん!!」とかボロクソ言ってて吹きました。こ、これは気心の知れた仲だからこその憎まれ口みたいなもの!?そこまで突っ込んでいいのかとドキドキします。あだち充には相変わらずですね。今まで小学館寄りだった漫画ネタに「ジャンプ」が出てきたのに注目です。なんだろうあのジャンプ編集者の格好良い描かれ方…!庵野秀明ほか未来のガイナックス組の動きも気になる。
そうだ現実といえば、アルバイトで焔が着ぐるみを装着する描写が壮絶でした。その着ぐるみはただの着ぐるみではありません。通気性がなくて毎日滝のように誰かの汗がたまってチャップンチャップンになるのに洗えなくて内部でゲロ臭が発生している着ぐるみです。
「ううっ、ううう――っ!!」
ツウウウーン
ツウ〜・・ ぬちゃらら ピチャッ!
ムオオン ムオオン
プウウウ〜・・・ ツツゥ〜ン ヌチャラ
「ううう―――っ!!」
にちゃっ にちゃらくちゃっ ぴちゃっ
ぬみちっ ぬぬめっ ちゃ
「うわあああ――っ!!」
ガポッ ピチャッ ヌヂャッ
これが着ぐるみを着る音に聞こえますか。子どもたちが一緒に写真とか撮るマスコットキャラの着ぐるみが出す音に聞こえますか。愛らしいマスコットの内側で若者がこんな苦行を強いられているとは、良い子達はおろか私達も知る由はありません。なんという凄まじさ。焔はこんなところでも現実の厳しさを思い知らされるのです。これでもかこれでもかと。くさった臭いに慣れてからはなんか悟った表情にすら見えるよ…顔は着ぐるみのゴンちゃんだけど。
『アスカ@未来系』の第2集は1月19日ごろ発売だそうです。