『新吼えろペン』3〜4集 感想

新吼えろペン 3 (サンデーGXコミックス)

新吼えろペン 3 (サンデーGXコミックス)

映画の初号試写の話と、あの男が復活する話と、藤田和日郎先生との合作『からくり逆境サーカスナイン』収録。合作はまだ『逆境ナイン』も『からくりサーカス』も読んだことがないので、両方読むまで取っておこうかなぁと。そうした方が作品を楽しめるに決まっている!と思ってたんですけど、藤田先生の『からくりサーカス』って40巻以上あるんですか。やっぱりさっさと読んだ方が良いかな・・・。
炎尾先生の「夢があったらあきらめろ!!」「あきらめてたらかなった夢でも確認しに行ってくるか!」というドライで殺伐としたセリフがやけにリアルで効きました。良い子のみんなはこんなミもフタもない言葉をインプットしちゃだめだぞ。ヒーローも気構えが男前になったなぁ。旧シリーズの「安全なほうの道を」という炎尾先生の言葉の意味もやっと真に理解できた。そうかー、「危険な道」と「困難な道」の違いが分からず猪突猛進して自滅するのが青さか!「困難な道」は選んで良いが「危険な道」は選んではいけない、「安全な道を選ぶ」ということは決してぬるま湯に浸かることと同義ではないのだ。あああ目からウロコですよ!ぱみぱの決断と思い切りの良さも格好良い。もしやこの巻でいちばん子供なのって炎尾先生では!?


新吼えろペン 4 (サンデーGXコミックス)

新吼えろペン 4 (サンデーGXコミックス)

集中線の話と、温泉でリラックスの話と、パクリフリーの話と、ぱみぱのネームの話。パクリフリーはまたかなり危なそうなネタ。マンガ業界全体をGペンの先でチクチク突っつくようなコワい話だ・・・。例えば「ベタな展開」「王道」というものがありますが、ではその「ベタ」や「王道」を始めにやったのは誰か?オリジナルは何なのか?当時はそれが「斬新」「新鮮」だったのでは?大昔著作権というものが存在しなかった時代は、当たった(面白い)作品の良い部分を真似してまた当たりを狙うのが常套手段だったと聞いたことがあります。ひとつのネタを他の作家達が真似して、同じようなパターンが量産され、年月と共にオリジナルが判然としなくなります。やがてやり尽されてオリジナリティも薄まり熟成しきったそのパターンを使ったとしても、それはもはやテンプレートと化していて「パクリ」とは言われないと。パクリフリー雑誌の発想もそのDNAですよね。いやーすごい話を作るなぁ。こっちも殺伐としたギリギリな空気で、パクリフリーの可能性に気付いてやらかしそうになるアニキを必死で止める萌の可愛さが癒し。ぱみぱの話では、なかなか言えない言葉を炎尾先生が思い切り叫んでいてちょっと快感でした。
>「なぜ!! なぜこんな……つまんねぇものが売れてんだよ――――っ!こんなクソつまんねぇマンガが――っ!!」
>おれにはまったくわかんねーよ!! 読者の頭がわりーんじゃねーのか!?

とシャウトしつつ
>とか思いはじめたら――確実に自分自身が病みはじめてる凶兆!
>そんな時は!!
>「他人のマンガより、まず自分を心配しなくては!!

その通りです、炎尾先生!言葉と魂は熱くても、頭の中は常に氷水のように冷たく冷静でなければ人道を外れるよな。