最近買った漫画
他所様のレビューで気になっていた2作品です。
- 作者: 羅川真里茂
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/10/15
- メディア: コミック
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津軽三味線を背負い、単身、青森から東京へやってきた津軽三味線奏者・澤村雪。師でもあった祖父を亡くし、自分の弾くべき音を見失ってしまった雪だが、様々な人と出逢いながら今、自らの音を探す旅を始める。(カバーあらすじより)
なんと静かにアツい物語。三味線ってどうしてこんなに激しいんだろう。
武術や芸事を修める者は、いつまでも師の真似をしている訳にはいきません。いずれ師の格を変形し、己の格を生み出すことで完成されると言います。雪にとって"格"とは"音"、"音"は即ち"自分"なんでしょうな。ずばり「自分探し」の物語なんです。なんて真っ直ぐな青春ものでしょう!それもすごく真摯で、誠実。
音楽漫画で大事なものといえば"音"の表現ですが、この漫画の"音"はとても激しい。圧倒される。私は細棹の長唄三味線をやっていまして(「チントンシャンってお座敷で弾くやつ」です)、津軽三味線より高音で唄の伴奏がメインなんですけど、演奏する時は「撥でしっかり叩きなさい」と指導されます。そう、「叩く」。三味線は打楽器と同じなんです。雪のライブシーンは正に打楽器の迫力と凄み。かつ弦楽器の繊細さも併せ持ち、場の空気を自在に変えてしまう。この音のギャップに五感を揺さ振られ、息を呑む。久々に三味線を弾き喜びを噛み締める雪、雪の三味線を聴いたユナさんの反応は官能的ですらあります。身体の感覚器官に響く音か。・・・ああ憧れるなぁ、津軽三味線の力強い音に。
同じく三味線やってるからこそ分かる面白さもあるんですよ、「三の糸切れた」とか。1番細い糸なんでしっかり弾いてるとすぐ切れるんですよ・・・演奏中に突然・・・。そんなこんなで、2巻も期待です!
- 作者: 絹田村子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/03/10
- メディア: コミック
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佐々木倫子を思わせる作風(意識してるのかな?)で、派手さはないけどクスッとさせる面白さ。彼女を作るためかなりオープンに頑張る若者達の姿が涙ぐましいです。工(たくみ)のブラックさがツボだ。ホラー映画や心霊写真は少しも見たくないけど悪魔とか呪術とかは大好き。私は神道とか仏教の勉強もしているので、こういった業界の人達がどういう日常を送っているのか非常に興味があるんですけど、これはそういう好奇心に応える類の作品ではないようです。とは言っても専門用語もチョイチョイ出てくる。それから地鎮祭の神饌を犬が――というシーンがありましたが、知り合いの神社の子に似た話を聞いたことがありまして。なんでも、湖の船上で神事を執り行っていて、神職が湖面に神饌を撒いたところブラックバスが出てきて神饌を食ったとか。実際あるんですねぇそんなコントみたいなことが。神事の雰囲気ぶち壊し・・・だけど笑っちゃうわそんなの見たら・・・!
あと短編「道行き」がすごく好み。こちらは今市子チックな怪談ですね。本当に短いお話だけどさり気なく上手い。