『銀魂』第三十巻 感想

銀魂-ぎんたま- 30 (ジャンプコミックス)

銀魂-ぎんたま- 30 (ジャンプコミックス)

祝三十巻!空知先生三十路到達!*1な巻です。表紙は前巻から登場の地雷亜さん。ダークで格好良いのにサブタイトルが「乳輪のデカさと人間のデカさは比例する」って…!表紙の人の乳輪がデカいようにしか見えないのであります。
いまいち感想が出て来ないので、あとで加筆するかもです。

収録内容

第二百五十六訓「美人は3分で飽きるがブサイクは永久不滅」
「俺はね 整ったビルより崩れかかった廃墟や得体の知れない洞窟に美を感じるんだ」と全蔵サン。いいですよね、半分自然に還ってる人家とか何かの気配がする洞窟とか。全蔵サンとはウマが合いそうだ。(人の顔に関しちゃまた話は別になりますけども。)
「地雷亜」の由来は江戸時代の文学や演劇に登場する架空の人物、自雷也(じらいや)。特別忍者という描かれ方をしていた訳ではないみたいなんですけど、妖術を駆使して活躍する姿が忍者を連想させるため、忍者として扱われることが多いようです。自雷也と言えば蝦蟇の妖術使いですが、地雷亜は蜘蛛そのものという感じ。糸遣いは見せ方によれば相当格好良いですよね。アニメに期待してます。


第二百五十七訓「糸一本家事の元」
第二百五十八訓「師は先に往く者ではなく共に往く者」
第二百五十九訓「チャランポランな奴ほど怒ると恐い」
第二百六十訓「大切な荷ほど重く背負い難い」
吉原炎上編」で炎上しなかった吉原が、今度こそ本当の意味で炎上。燃える燃える詐欺をフォローする律儀な意味もあるんでしょうか。そして思わぬところで銀さんの幼少時代がチラリ。ほんのチラ見せですけど、"師匠"という存在に対する銀さんの強い思い入れも明らかになりました。松陽先生はまず"剣術の師匠"であったのね。銀さんはやはり孤児だったようで、死体に座ってメシ食ってたところを拾われたみたい。「拾われた」というか、声を掛けてきたその人に"何か"を感じて、自分から付いていったという感じ。芥川龍之介の『羅生門』よろしく死体から金目の物でも剥ぎ取って食い繋いでいたのかと思ったら、そこらに転がってる死体は全部銀さんの仕業?うーん、松陽先生はどうしても東城にしか見えないなぁ。
全蔵の親父さんの過去エピソードかっこいい。しぶい。でもこれ、前に空知先生が言ってた「忍者編」とは別物なんだよね…さっちゃん出て来ないし…。お庭番となると将軍との直接なエピソードも付きそうだし、歴史的な意味でも面白くなりそう。


第二百六十一訓「恩返しは気づいた時にやっておけ」
地雷亜戦決着、最後は自分の手で師匠を送った月詠
「鳶田段蔵」の由来は、実在した忍者の加藤段蔵*2「鳶田」としたのは段蔵に「鳶加藤(飛び加藤)」という通称があったことからでしょうね。『図説忍者と忍術』によれば、段蔵は一匹狼のような存在。越後の武将・上杉謙信に単身自分を売り込もうと幻術に近い術を披露し(その際人死にも出た)、謙信が課したテスト(直江の館から長刀を奪ってくること)も易々とこなしてみせました。ところが、このあまりの妙技を謙信はかえって恐れ、段蔵の討ち取りを命じます。それを察した段蔵は越後を脱して甲斐へ行き、武田信玄の将に奉公を乞うも、こちらでも討ち取りの命が出て、討たれたそうです。


第二百六十二訓「酒と女はワンセットで気をつけろ」
後日談。月詠酒癖悪ッ!酒乱の域を越えとりますが、これはこれで可愛いと思います。むしろいつもの取り澄ました月詠よりこっちの方がずっと好き。日輪姉さんも何気に豪胆な人ですね。


第二百六十三訓「幾つになっても歯医者は嫌」
第二百六十四訓「乳輪のデカさと人間のデカは比例する」
いい年こいて歯医者が苦手な銀さん、同じく歯医者が苦手な土方と待合室で鉢合わせ。副長サンなんで制服で来てるんですか(まずツッコむ)。いつものダメな言い合いはサラッと読んだんですけど、「ああまァちょっと散歩がてらフラリとドリリにな」の言い回しに惚れました。いいなコレ!一度使ってみたい。長谷川さん緊急救命〜サイボーグ長谷川さん&近藤さん〜「先生 玄関ドア外れてます」までは軽くクスクス笑ってたんですが、戦闘妖精シャザーンさんで盛大に噴きました。これは…!ホントッこの手のキャラはズルイなぁ。出オチ一発ですよ。銀さんに装着されたベティさんって、もしかして「脳が腐るゲームマダオ」に出てきた人でしょうか。体型がちょっと違うかな。
ところで、漫画によくあるこの「歯医者コワイ」っていう感覚がよく分かりません。なんでだろう、確かに麻酔とか痛いんで好きではないけど、歯医者って面白くないですか。診察台の横に薬の入った小さい瓶がたくさん並んでるのとか、見るの楽しくないですか。ドリルが何種類も並んでいて、たまに先生がヘッドを付け替えるところとかなんかカッコ良くないですか。歯医者の診察室って全体的に工作室みたいでわくわくしませんか。なんか自分が工作されるみたいで、ドキドキしませんか。…ああそうか、この感覚が「歯医者で改造手術」の発想元なんだ!ナールホド上手いなぁ。
ジャガーさんのこれ↓より恐い歯医者さんなんて無いと思っていましたが…

ショッカー本部な歯医者さんもトラウマ必至なのでした。

おまけページ

〜質問コーナー〜

質問76:もう30巻になるんですよ。ゴール見えてきたんですか?
ゴール=連載終了なのでまだ見えてこなくてもいいなって思います。
質問77:プレゼントと中崎さんに一体何があったんですか?
空知先生へのプレゼントをエリート中崎東大さんが先に使っちゃったってこと?
質問78:いずれ東京に出て漫画を描きたいのですが…
ジャンプ本誌の十二傑賞審査員の時のコメントもそうだけど、漫画家を目指す若者に対するこういう真摯な態度が非常に好感です。
質問79:どうしてオッさんの絵がうまいんですか
等身大オッさん作家・空知英秋先生のオッさんが見られるのはジャンプだけ!
質問80:ドSになりたいのですが、どうしたらドSになれますか?
このブログを見ている小学生の皆さんに教えましょう。「S」という言葉を「愛嬌のあるいじめっ子」とか「"ツンデレ"の"ツン"が発動してる人」とか思っている子がいるかもしれない。広い意味ではそれもあるんだけど…。いいですか、「S」というのはサディズム、もしくはサディズムを持った人・サディストのこと。こういう性的倒錯は「異常性欲」などと言われています。つまりカンタンな言葉にするとね、「S」の本当の意味は、人に苦痛を与えるとエッチな意味で興奮しちゃう人ってことなんだ。「M(マゾヒズム・マゾヒスト)」はその逆だね。わかるかい、だから空知先生はあんなに焦っていたんだよ。これら全てを理解したうえで「ドSになりたい」というのなら、何も言うことはありません。空知先生の言うことを即実行して「ド小学生」を目指しましょう。
質問81:白血球王はどうして目が死んでないの
「銀さんは強さの象徴ではあるが人格は認めていない」ってところに流石の冷徹さを感じました。

〜作者コメント〜

いつもながら字が細かくて読み応えありました。本誌買ってる間、単行本で一番楽しみにしてたのも空知先生のコメントですからね。下手すると漫画より面白い時もあるんじゃないかと思います。今回は三十路を迎えた空知先生が「3」という数字のもっさり感に絶望するという内容でしたが、「3」ってなかなか深くて面白い数字のようです。「3」をテーマに卒論書いた人もいるくらい…。でもセンセイがケツケツ書くから本当にケツに見えてきましたよコレ。どうすんの…!

*1:空知先生の誕生日は五月二十五日。

*2:忍たま乱太郎』のキャラクター、一年は組の「加藤団蔵」もこの人が由来。ちなみに団蔵の父ちゃんの名前は加藤飛蔵です。