買った漫画:『アオイホノオ』1〜2集

初めて島本作品を買ってみました。近ごろ古本屋か図書館で60〜70年代の名作系を漁るばかりだったので、ごく最近の新しい漫画を買うという行為がすごく新鮮でした。未知の漫画を思いきって買っちゃうときのあのどきどき、1巻1ページめを開くときのわくわく感、たまりませんなぁ。


アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)

アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)

時は80年代初頭。漫画・アニメ業界が新たな局面を迎えつつある時代のさなか、芸大に通いつつ将来はひとかどの漫画家になってやろうと目論む若者・焔燃(ホノオ モユル)の物語。実話とフィクションを織り交ぜた島本先生の自伝的作品だそうです。「漫画家の漫画」といえばWJで『バクマン。』が連載中ですが、この作品で描かれているのは“読者視点の漫画・アニメ文化時代史”とでもいうもの。あだち充高橋留美子石森章太郎松本零士みたいな時代を代表するビッグネーム&ビッグタイトルの固有名詞がばんばん出てきては業界志望の学生に批評され(なんか痛快)、さらに当時学生の庵野秀明山賀博之南雅彦といった未来のビッグネームがキャラクターとして登場。こんな凄いメンツがひとつの大学に集まってたのか…!いやもうナイスな熱い漫画でした。冷静に見ればものっそヘタレなセリフも熱血オーラに包まれると説得力が出るんですね。たとえば、矢野健太郎「漫画ばかり描きすぎて……3回留年!!いまだに一年生だ!!」と高笑いで燃に言い放つわけですよ。普通なら「いやそれ勝ち誇ることじゃないだろ!」と猛烈に突っ込むところなのに、なんか熱気に呑まれて「か、かなわねぇ…!ゴクリ」と思わされちゃうのがすごい。(でも冷静になってからやっぱり思う。何しに大学に来てるんだこの人!?)
濃ゆい作風に目を眩まされそうですけど、これがかなりストレートな青春漫画してるんです。主人公は行動の伴わない野心に燃えていて、甘くない現実に打ちのめされて、彼氏もちの憧れの先輩がいて、体を鍛えたくて怪しいマッスル製造器具を買っちゃったりする。高校〜大学生くらいの若者によくある間違った自信・思いこみ・情けなさ・迷走etc…つまりハチクロで言うところの青春スーツ熱血コートでくるんだ感じ。面白いわこれ…!新刊出たらすかさず買おう。



アオイホノオ 2 (少年サンデーコミックススペシャル)

アオイホノオ 2 (少年サンデーコミックススペシャル)

そして2巻。燃の恋模様(?)も気になりますけど、それはさておき。第9章で、1979年版『サイボーグ009』のOPがフィーチャーされてるんですよ!(扉絵も009のパロディになってます。)しかも燃はそのOPを「完璧、おそるべき完璧なオープニング、100点!!!」と手放しで大絶賛。ついYouTubeで見直しちゃいましたよ、「金田作画」に注目して。⇒【サイボーグ009 OP「誰がために」】 006の火炎放射の発火位置とか・・・そこまで注目してませんでしたよ。言われれば確かになるほど!これは御見それしました。ところが、OPについてはこれほど熱く語っていたのに、燃はなぜか本編に入った途端にトーンダウン。あの興奮はいずこへや。本編の作画は大したことなかったってことなんですかね?(79年版はまだ見たことないんですけども。)それにしても何度見ても痺れるOPだ。「涙で渡る血の大河 夢見て走る死の荒野」とか歌詞がすごい。