『吼えろペン』12〜13集(完) 感想

吼えろペン 13 (サンデーGXコミックス)

吼えろペン 13 (サンデーGXコミックス)

若い才能の・・・新しい時代の胎動と・・・
第一線で戦うマンガ家たちの、熱き魂の躍動を感じた・・・!!

13巻。始まりが不穏でドキドキしました。「ああ、終わりが近い」という予感がして。
12巻まではいつもと変わらずみんなで熱血に馬鹿なことやってたし、能天気ですらあったのに。
なんでこんな世界の終わりみたいな不安を感じてしまうんだろう?
この物語は、ヒーローの炎プロへのアシスタント入りから始まり、彼のデビュー(巣立ち)と共に終章に入ります。
毎回予想外のトラブルに見舞われながらも魂を篭めてギリギリ原稿を上げる炎尾先生、という展開が基本だけども、
少年漫画的な成長主人公役は最初から最後までヒーローが担っていた訳ね。
気持ちが前に出過ぎで突っ走りがちだった少年が、最終巻ではすっかり一人前の男の顔になっていました。
炎尾先生から学んだことを胸に、自信に満ちて自分の道を突き進んでいくヒーロー。
その姿が頼もしくもあり、寂しくもあり、とても熱い。
「根拠はないが・・・予感はあるっ!これからはおれの時代がくるのだ!!」
このエネルギッシュな野心!師を食い殺すのすら厭わないほどに、若者の勢いは止まりません。
ああ、新しい時代が来るんだ。ヒーローも、読者の私もそれを確信していました。
それだけに、ラストは衝撃的だった。
ヒーローは一体どうなってしまったのか。
轟く雷鳴は彼の門出を祝う天からの祝砲ではなかったのか。
迸る稲光は彼のために天がもたらしたインスピレーションではなかったのか。
デビュー間もないたった1人の若いマンガ家の運命など、読者は知る由もない。
胸が高鳴って、体中の血が静かにざわつきました。
きましたよ、本当に面白い漫画を読んでいる時にだけ味わえる、あの心地良い感覚が。
この漫画はあくまで「マンガ家漫画」で、必殺技が出てくる訳でも戦闘ロボットが出てくる訳でもありません。
むしろリアルですらある。そんな「マンガ家漫画」で、思いもよらないスペクタクルを味わってしまった。
熱血マンガ家・炎尾先生の燃える魂!これさえあれば飛び道具は要らないのだ。
新雑誌の創刊。廃刊。引き抜き。潰し合い。デビュー。連載。打ち切り。
今日も明日も絶えず繰り返されるマンガ界の栄枯盛衰!
たとえ連載が終わろうとも、雑誌が無くなろうとも、マンガ家が死のうとも!
一度生み出されたキャラクターの・・・マンガの命は消えない!

「マンガ家の戦いに終わりはないっ!」
くあーっ、ありがとうございましたッ!!