『新吼えろペン』9〜10集 感想

新吼えろペン 9 (サンデーGXコミックス)

新吼えろペン 9 (サンデーGXコミックス)

サイン会の話と、テレビ放映の効果の話と、燃えるマンガ家炎尾先生の話と、マンガ家地上最強決定戦の話。
原点に立ち返ったような懐かしさを覚えた。第1集の感想で「新シリーズに入ってからもテンションが落ちてない」ということ書いたんですけど、あれはちょっと外れています。あの文章は『新』を全部読み終えてから書いたので総合的にそう評価したのですけど、実際は『新』に入ってから若干パワーダウンしたかなとも思っていました。決して面白くなくなったという訳じゃなくて、内容が風刺とか業界物的なリアル志向の大人っぽい作風になったのと引き換えに、旧シリーズのいかにも漫画チックで現実離れしたパワフルさが薄まってしまった感じがするんですね。リアルな話(この巻で言えばサイン会に人が集まらなくて傷付いたとか、テレビで実際とは違うキャラに編集されたとか)もドキドキするし興味深いですけど、初期のシンプルでぶっ飛んだ展開が恋しくなったりすもるのです。そこで、初期のノリを思い出させてくれたのが第34話。いつもと趣向が違ってアクション回とも言えるような話なんですが、右腕を燃え上がらせながら全力で原稿に向かいアツい魂を叩きつける炎尾先生本来の姿を久々に見た気がしました。これだよこれ、足りなかったものは!これが私の求めていた炎尾燃だよ!と嬉しくなったのでした。


新吼えろペン 10 (サンデーGXコミックス)

新吼えろペン 10 (サンデーGXコミックス)

マンガ家地上最強決定戦の続きと、職業チェンジの話と、マンガに描いたことが現実になる話。
描く武装!描く開発!描く抑止力!「あ、そう?」!こいつぁやばい臭いがプンプンするぜ・・・!もう島本先生がどこかの国の機関に消されるんじゃないかと思われるような領域にまで踏み込んでいるような!というのは大袈裟だけど一体どうすればこんな話を思いつくんですかすごいや。影の総裁の画風がなんかジョジョっぽいのも気になりますが、マンガの影響力を利用して国家と世界をアレしようという影の総裁の壮大すぎる構想に呆気にとられてしまった。だてに秋葉原で演説してるわけじゃない。随所で笑わされながら世界平和とか倫理とかマンガの可能性みたいな大きなテーマについて考えさせられる実に教育的な内容だった(マジでか)。マンガ島シリーズも発想の勝利だと思います。上手いなぁ、こういうイベントを作れば"マンガ家漫画"でもトーナメントとかバトルが描けるんだ。パラレル要素も入って面白いですし。まさか炎尾先生が○○○ー○にまでなるとは・・・なんという超展開。この巻も全体的にアクションメインですね。キャラが暴れてると楽しいな。職業チェンジで壮絶なお仕事体験をしてハードボイルドな魅力が備わった炎尾先生も素敵。やけにOO0を庇うピアスに笑いました。「怪獣と少年みたいだな」が言い得て妙すぎる^^


マンガ島シリーズは、1度使ってみたいセリフがたくさん出てきました。

いっちまいな!

決してお前の死を無駄にはしない…!!

お前の命を消した時、おれというマンガ家も同時に死んだのだ!!

ペンが……剣のように強し!!

おれのペンはいったい何人の血を吸えば気が済むんだ――!!

戦いを嫌いながらも血なまぐさい戦場に身を投じねばならない哀しみの戦士・炎尾先生。大人のマッサージはどうでしたか?